去る、八月十三日、東京の光明寺本堂にて、小木戸利光さんと、東京大学医学部附属病院の医師であり、多彩な活動をされている稲葉俊郎先生のトークショウ「八月に想う」を拝見しました。
俳優、ミュージシャン、モデル、パフォーマーと、万華鏡のようにキラキラと繊細な輝きを多方面に放つ、小木戸利光さん。今回初めてお会いすることができましたが、その素直で優しい心で、NHKドラマ「あんとき、」の制作秘話や、小木戸さんにとっての表現という行為の意味を丁寧に惜しみなくトークされていました。自分に対して真摯であることを突き詰めると普通は周囲との境目は強まり、揺らぎない確固たる自己が出来上がりますが、小木戸さんの場合は、もともとの本質が非常に透明度の高い純粋な心がありました。今迄、息をするように表現をする性質を持つ者として、通常は感じ得ない幾多の摩擦や違和感の荒波を越え、周りを排除するのではなく、しなやかに感じ、沈殿させ、形にして表現をするサイクルを美しく昇華させていました。二部でのパフォーマンスは、そんな小木戸さんの生きる苦しみ、惨めさ、それ故の強く繊細な生命力、表現にあふれ、涙が溢れてくるように魂揺さぶるもの、圧巻でした!
稲葉先生は、医師として命や人生、死をダイナミックに愛情深く見つめながら日々活躍しており、発信する言葉にもたくさんの積み重ねや折り重なる思いが詰まっていました。医師という職業を自分の中でどのように咀嚼していくか、医学が世界の中でどのような位置付けであるのか、病とは/回復とは、癒しとは/鎮魂とは、救済とは…誰のため、何のため、本質的であるかどうか…毎日の私自身にもたくさん共鳴するテーマを投げかけてくれました。
重量感のあるトークとパフォーマンスの稲葉先生と、苦しみの中にも透明感のある小木戸さんの組み合わせは、夏の真ん中で美しく鎮魂のメロディーを響きあわせていました。